「最新 大国中国の民衆白書」 本の感想文(前重慶総領事 瀬野清水様から)
本感想文は、前日本駐中国重慶領事館総領事 瀬野清水様から頂いたものです。ご本人の了解を頂きまして、内容を掲載させて頂きます。
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株式会社 三明インターナショナル
代表取締役 顧 暁次郎 様
拝啓 初夏の陽気となって参りました。顧様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、先日は「大国中国の民衆白書」の出版記念パーティーにお招きくださり、まことにありがとうございました。また、その際、顧様の編著になる同名の著書を頂戴し、ありがとうございました。早速読ませていただきました。
中国と日本は交流の歴史も古く、地理的距離も近いのに、お互いに相手の国の民衆が何を考え、どんな生活を送っているかは意外と知られていません。特にこの20年は、一方が失われた20年、他方が急成長の20年で、既存の尺度では図れない大きな変化が生じています。
幸いにも、近年中国から来日する中国人観光客が増加の一途をたどっており、最新の日本の事情については、これら観光客が持ち帰るみやげ話と共に理解の輪が広がる可能性がありますが、日本人の中国理解は中国が大きすぎることもあり、なかなか進んでいないようです。マスコミやネットを通じて流れてくる中国脅威論や中国膨張論に惑わされることなく、等身大の中国人の暮らしぶりを垣間見るには、この本はとても時宜を得た出版と思います。
何よりも、事実を淡々と数字に語らせているところがわかりやすいです。理屈を並べなくても、一目瞭然。中国には何か特別な人が住んでいるように思っていた人も、なんだ、自分たちと同じじゃないと思わせてくれます。訳文も素晴らしいです。元の文章が中国語であることを少しも感じさせないこなれた日本語が、この本をとても読みやすく、親しみやすくしています。それに日本語に訳しにくい単語はそのままにして、無理に訳そうとせず、章の末尾に「豆知識」としてまとめているのも素晴らしい試みです。「豆知識」だけを読んでも最新の中国事情が分かったような気持ちにさせてくれます。本が軽いのもいいですね。紙の質に秘密があるのかも知れませんが、カバンに入れて持ち歩くにはこの軽さが助かります。できるだけ多くの若い世代に読んでほしいと思いました。
素晴らしい本を世に送り出してくださり、ありがとうございます。
最後になりましたが、御社のますますのご発展と顧様の益々のご健勝、ご活躍をお祈りいたしております。
敬具
平成27年5月20日
瀬野 清水(自筆サイン)